金沢市内にある伝統的な構造、形態又は意匠を有する木造の建築物のうち、本市の歴史、伝統及び文化を伝える建築物で、昭和25年の建築基準法(寺院・神社等を除く)の施行の際現に存していたものです。具体的には、町家、武士系住宅、近代和風住宅と呼ばれる歴史的建築物の総称です。
藩政時代に城下町や港町などの町人居住地に建ち並んでいた建物で、商人や職人たちが住んでいた都市住宅です。建物は、直接道路に面して建ち、隣家同士が接して敷地間口一杯に軒を連ねていました。建物は隣同士接していますが長屋ではなく、互いに柱や壁は共有せずに、それぞれが独立しています。
藩政時代に武士が住んでいた住宅で、かつて城下町の約6割を占めていた武士居住地に建っていた建物です。建物は敷地のほぼ中央に独立して建ち、門を構え、周囲を土塀で囲われていました。敷地内には実の生る樹木が植えられ、座敷に面して簡素な庭園が設えられていました。武士系住宅は、このような武士住宅の様式を継承した住宅です。
明治維新後に日本に入ってきた西洋文明による近代化で変容した伝統的建築様式、建築技法、建築材料によって建てられた住宅です。現在、市内に残る金澤町家の多くがこの近代和風住宅です。町家あるいは武士系住宅の流れを汲んでいます。
金澤町家は伝統的な構法で建てられています。伝統的な構法と現代の木造住宅の構法は大きく異なり、構造の特性も対照的です。耐震補強を行う際には、それらの構法の違いを理解し、建物の構造特性に応じた適切な補強方法を選択することができます。
金澤町家情報館の各室について、ご紹介いたします。
金澤町家の再生活用のモデルとして整備した、金澤町家情報館の修復作業の内容と流れがよくわかります。
金澤町家の壁は土壁でできています。
情報館の整備においても、伝統構法による土壁の修復をしました。土壁をつくる一連の工程がご覧になれます。
土壁の下地である「小舞掻き」の作業過程をご覧いただけます。
職人の伝統構法の技が光ります。
下地の上から、土壁の一層目となる「荒壁」を付けていきます。
壁の下地である「貫」と「荒壁」との間に亀裂が入らないように漆喰で「貫伏せ」という作業を行います。
荒壁が乾燥したら、二層目である「中塗り」を付けていきます。
上塗りをかけない、中塗りで土壁を仕上げる部分の作業です。
上塗りとして「本聚楽(ほんじゅらく)」で仕上げる作業です。
上塗りとして「漆喰(しっくい)」で仕上げる作業です。
既存の木製建具を再用するために修復する一連の作業です。
既存の襖を再用するために修復する一連の作業です。
金沢職人大学校の修了生を中心として、限られた敷地の中で奥行きを感じることができる
金沢らしい庭を整備していただきました。