新着情報

2024年5月7日(火)

【金澤町家コラム】金澤町家の蔀戸

風薫る五月です。
空は青く澄み渡り、山の緑は深く、川の流れは清らかです。
金澤町家の甍(いらか)は陽光を受け光輝いています。
先日、金澤町家情報館に燕が二羽飛んできました。
長期滞在すればいいのにと思いつつ子どもの頃を思い出しました。

・・・    ・・・

むかしむかし商人や職人が住んでいた町家は、交通が盛んな街道沿いに面して建っていることが多く、その前面を開け放すことで店としての機能を果たしていました。この金澤町家情報館も江戸時代末期に大工さんが自宅として建てたことに始まり、金沢市に寄贈される前はお米屋さんでした。

今回は、蔀戸(しとみど)について。。

店の前面に設けられた外部建具である蔀戸(しとみど)は、畳一枚ほどの大きさの横長の戸板が柱間に設けた柱の溝に沿って上下二枚入れられています。戸板を上げ下げできるスライド式の建具です。
戸板は上部の小壁の内側に順に押し上げて二枚とも収納できるようになっています。現在のシャッターの機能に似ています。昼間は戸板 を二枚とも上げて全開口し、夜は戸板を下ろすことで戸締りをします。
戸を外さず開閉できることにより、戸を置く場所をとらない。。なんと機能的なことでしょう!蔀戸(しとみど)は、古人の知恵を生かした外部建具です。

季節によって全開口して半分障子戸を入れたり、半開口してアクリル戸を入れたりします。町家ならではの季節の風情を感じます。

蔀戸(しとみど)は、金澤町家情報館の見どころの一つです。季節に応じて趣が変わります。ぜひ、四季を通してご覧ください。