2024年9月10日(火)
旧暦8月15日の「中秋に見ることが出来る美しい月」いわゆる「中秋の名月」は
今年は9月17日(火)です。
中秋の名月を鑑賞する風習は平安時代の貴族に始まったと言われています。
様々なお供え物をし、月への想いを詠み、池に船を浮かべ「観月の宴」を催します。
ただ酒を酌み交わすのではなく、杯に映った月を愛で、自分の想いを詩にして読む。
こういう風情を楽しんでみたいものです。
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今回は、華やかな塗り壁について。
お座敷の壁の色は何色でしょうか?
金澤町家は、お客様を迎えるお座敷に華やかな色の塗り壁が施されています。
金澤町家情報館のお座敷は赤いベンガラ色の壁です。JISの色彩規格ではベンガラ色を「暗い黄みの赤」と表記しています。
ベンガラとはインド東部のベンガル地方から伝来した赤色顔料(酸化鉄)です。
ベンガラは人類が最初に使った赤色の無機顔料だそうです。洞窟の赤色壁画にも使われたとされています。
江戸時代中頃、国内(岡山県吹屋)でも作れるようになり、華やかな美しさだけではなく、色褪せしづらく防腐効果もあったため魔除けの意味も持つようになったそうです。岡山県吹屋のベンガラは建物だけではなく焼き物や漆器の下塗りなどにも使われているそうです。
金沢は雨の日も多く、冬は雪が積もり外はモノトーン色。お座敷のベンガラ色の壁は温かみや華やかさで非日常を演出しお客様を笑顔にしてもてなしてくれたことでしょう。
金沢では群青色の壁も有名です。格式高い武士のお座敷の群青色の壁は特別なお客様をもてなすためのものだったそうです。JISの色彩規格では「こい紫みの青」と表記されていますが、鮮やかなウルトラマリンブルーの方が伝わりやすいかと思います。群青色は西欧のラビスラズリという宝石から作られたとても貴重な顔料だそうです。そのことからも当時の金沢の武士の財力と美意識の高さを感じることでしょう。
金沢の華やかな塗り壁は、時代を超え今も愛され残されています。
ぜひ、ご覧ください。